今は我が心ぞ空にかえりける
のこるかたちは蝉のぬけがら
この短歌は江戸時代の浮世草子にみられる一句であるそうです。
この句を引き合いにして、昨今の顕著なキャスターの引き際を比べたコラムを読みました。
人それぞれの生き方、有り様ですから、一概には批評できませんが、少なくとも、この句のような引き際は、悔いを残すことのない粋な終わり方だと思えます。
<引用>
笑いに携わる人は、どこか厭世的である。江戸時代、僧であり、仮名草子の作家でもあった浅井了意はその著作「浮世物語」の最後をこんな歌で結んでいる。
今はわが心ぞ空にかえりける
のこるかたちは蝉のぬけがら
主人公の浮世坊は、諸国を面白おかしく漫遊していたのだが、最後はこんな風にこの世から解脱していくのだ。
江戸時代の浮世坊、昭和のこまわり君。世間を笑いとともに漂流したトリックスターは、結局は「空」に帰っていった。来年3月、現代のトリックスターは、どうやって番組を去るのか。やはりそこには、「何も感慨もない」空の境地が待っているのだろうか。
〈http://premium.yomiuri.co.jp/sp/#!/news_20131029-118-OYTPT00331/newstop 読売新聞オンラインより抜粋〉